「あり方」の教育とは、“当社の営業としてどうあってほしいのか” ということを教育することです。
当社の営業は、社会でどんな存在でいてほしいのか、お客様からはどんな印象を持ってもらいたいのか といった、会社の理念に通じる、社員としての姿勢の教育ともいえるでしょう。これは、会社の風土、イズムに通じる教育です。
近年こういった「あり方」の教育を営業研修ではほとんど見受けなくなりました。
「あり方」教育は、働く上での指針を与えるものですから、本人のつらいとき、苦しいときの下支えになります。
この「あり方」教育に目が向けられていないがゆえに、在職期間の短縮傾向や入退社社員数の増加につながっているのではないかとする見方もあります。
一方「やり方」の教育は、業務遂行能力を向上させるための知識やスキルの教育です。
知識や論理を付与したうえで、営業研修ですとロールプレイングなどを通じて、スキルを定着させる教育を施します。即効性があり、効果も実感できることから、現在の営業研修においては「やり方」の教育が主流といえるでしょう。
ただ、「やり方」教育だけでは、限界があることも認識しておくべきと思われます。なぜならば「やり方」の営業研修では、そのスキルは本人のものであって会社の資産には成り得ません。その受講者が会社にいる間だけは、本人を通じて会社の資産になります。
「あり方」教育は、会社の目指すべき姿勢に受講者がぶら下がることになります。つまり、「あり方」教育は主が会社です。また、個人の営業教育ではなく組織としての営業教育には重要な考え方となります。
この違いは、十年、二十年という長いスパンで見た時には、大きいといえるでしょう。