研修は実施することが目的ではありません。結果を出すことが目的です。
結果を出すには、研修で学んだことを実践するしかありません。
研修で学ぶことで知識は増えますが、経験値にはなりません。
経験値を増やすには、やはり学んだ内容を実践するしかないのです。
ということは、研修を実施するだけではなく、研修後に実践に移す仕掛けと強制力を営業研修の計画段階で組み込む必要があるということです。
では、営業研修の設計をどのようにするか・・・ですが、
A.まずはどんな営業を目指すのか、どんな状態になっていたいのか
↓ ・・・理想の営業状態を明確にします
B.現状の営業はどんな状態なのか
↓ ・・・現在の営業状態を確認します
C.AとBのギャップから、何が問題なのか、何を解決すべきなのか
↓ ・・・課題を明確にします
D.Cの課題を解決できる営業研修の内容は何が適切か
↓ ・・・営業研修コンテンツを作成します
E.Dの営業研修コンテンツを実施するにおいて、事前準備として何が必要か
↓ ・・・会社の方針決定、実践活用に必要なデータを明確にします
F.営業研修の実施
実施までの流れは以上の通りですが、実施後にどのように実践させるかがポイントです。
研修実施後の実践に移す仕掛けと強制力について事例で話しましょう。
営業戦略研修では、売上・シェアアップのための
・顧客ターゲティングの仕方
・シェア目標から導き出された新規顧客開拓件数と圧倒的客内シェア顧客開拓件数の算出
・営業「量」確保のための顧客格付と訪問頻度設定
を他社事例も含めてお伝えしています。
研修終了後には、「そういう理論があったのか」「シェアの数字の活用の仕方がわかった」「顧客ターゲティングということはそういうことか」といった感想を持つことでしょう。
ただ、これで終わってしまっては、この営業研修で学んだことは他人事で自分事ではありません。知識だけで終わってしまい、いつか遠い記憶として風化することは間違いありません。
では、どんな実践活動をするかですが、この研修でシェアという数字の重要性が理解されています。しかし、このシェアについて現場の生々しい数字を把握している企業は皆無です。
現場の生々しいシェア数字というのは、営業担当者自らがターゲット先に足を運んで収集するデータのことです。そうでないと意味がないのです。書物などやネットから引っ張ってきたマーケット資料では、市場状況を明確に把握できないのです。
ですから、シェア調査という名目で、全顧客ターゲットに対して調査を実施します。
実は調査と言いながら、この段階で必ず案件が発生します。なぜなら、今まで顧客ターゲット全てを回っていないからです。営業の活動には偏りがあります。よく訪問する先、全く足が向かない先というように。
ですから、調査という名のもとの全顧客ターゲットに営業を強制的に行っているのです。
そして収集したシェアデータを営業拠点ごとに集計して、研修で得た知識を活用して分析し、売上・シェアアップに有効な顧客をターゲティングし、月次ベースでの訪問活動を計画に落し込みます。
この一連の計画づくりが営業戦略です。
そして、策定された営業戦略を発表する場を設け、研修参加メンバーの前で全社承認を得るのです。
つまり、研修で得た知識を実践に移す仕掛けと強制力というのはこういうことです。
実践に移す仕掛けというのはこの場合、シェア調査であり、営業戦略の策定です。
そして強制力というのは、せざるを得ない状況をつくるということですから、営業戦略発表会という場の設定です。
この流れを複数年続けることで必ず組織の力となり、売上・シェアの向上につながります。